
藤田孝典著『ひとりも殺させない~それでも生活保護を否定しますか~』(堀之内出版)2013 が重版になりました。
お買い求めいただき、読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
本書は、お笑い芸人の母親が生活保護を受給していた事実の発覚を機に、生活保護バッシング報道が繰り広げられたことが執筆のきっかけでした。
支援現場で生活保護を受けざるを得ない人々の日常生活を垣間見ている分、国会議員やマスコミ報道の生活保護をめぐる議論は差別や偏見を助長するものだと思いました。
また、それらの議論は、現実を反映したものではなく、「家族」への扶養に頼れない人、「家族」が逆に生活を脅かす人もいるなかで、家族扶養を強化するべきだという行き過ぎた議論にも違和感をもちました。
そして、なぜ生活保護受給者は、「スティグマ」感をもち、「恥ずかしい」という感情を持ちながら暮らさなければならないのか。
単なる社会福祉制度の一部を利用することが「恥」であっていいのか、何のための公的扶助制度なのか、様々なことを考えました。
現在は残念ながら、生活保護で貧困を抑制しようという制度が持つ有効性を前向きに評価することが少なく、家族扶養の強化、不正受給対策強化という側面ばかりが注目されています。
生活保護バッシングを先導し、生活保護制度批判をしてきた国会議員の思惑通りになっている現実があります。
本書ではこれらの国会議員を批判しています。いまのままで生活保護制度はよいのでしょうか。
相談支援活動を始めて10年の節目ということもあり、なぜ活動に参加するようになったのか、活動から見えてきたものは何か、生活保護制度はどうあるべきなのか、まとめたものとして、発刊しました。
いろいろご批評をいただけましたら幸いです。
藤田孝典